【Invest #04】「80点システム」の死角 —— 理系夫婦が「退屈な安定」にスパイスを加える理由

安定は、時として「思考」を停止させる

前回の投稿で、私たちはインデックス投資を軸とした「80点のシステム設計」を完了しました。理論上、これでお金は着実に育っていくはずです。しかし、完璧すぎるシステムには一つだけ懸念がありました。

それは、「思考が停止してしまうこと」です。

自動運転の車に乗っていると、外の景色や道の凹凸に無頓着になるように、インデックス投資というオートパイロット(自動追従)は、私たちの知的好奇心を少しずつ眠らせてしまいます。そこで私たちは、メインのシステムは守りつつ、あえて「個別株」という実験枠を設けることにしました。

その投資は「娯楽」か「学習」か

: 「インデックス投資って、全自動で優秀すぎて、最近なんだか頭がサビついてきた気がするんだ。ほら、世界全体の平均を買うだけだと、ニュースを見ても『他人事』になっちゃうじゃない?」

: 「要するに、もっと『自分でハンドルを握りたい』ってことね。理系特有の『中身を分解して仕組みを知りたい病』が出たのかしら」

: 「バレた?(笑) でも、もし自分たちの判断で選んだ株が一つでもあれば、退屈な経済ニュースも一気に『自分に関係のあるドラマ』に変わると思うんだよね」

: 「なるほど。高いセミナー代を払う代わりに、あえて個別株を買って『強制的に世の中を勉強するスイッチ』を入れるわけね。まあ、負けても家計へ影響がない範囲なら、その実験、許可しましょう」

: 「ありがとう! 利益も大事だけど、それ以上に『考える楽しさ』という配当をもらうつもりでやってみるよ」

私たちが個別株に挑む、3つの「非効率な」意義

私たちが個別株投資を行う目的は、単なる損益の追求ではありません。それは、以下のような「知のトレーニング」そのものです。

1. 企業という「生き物」の戦略を読み解く

特定の企業に注目することで、その会社がどんな未来を描き、どんな壁にぶつかっているのかを深く探る動機が生まれます。「なぜこの企業が選ばれるのか?」という問いは、本業の戦略立案やキャリア形成にも直結する、生きたビジネスケーススタディとなります。

2. 数字の背後にある「企業の体温」を感じる

財務諸表の読み方やPBR(株価純資産倍率)といった指標は、教科書で学ぶと無機質です。しかし、自分の資産を投じることで、それらは「企業の健康診断書」へと変わります。数字を通じて社会の動向を読み解く力が、自然と磨かれていきます。

3. 世界経済と「同期」する

マクロ経済の動きが、保有株を通じてダイレクトに脳内に響くようになります。遠くの国で起きた出来事が、どう巡り巡って自分の手元に影響するのか。ニュースを漫然と眺める受動的な姿勢から、物事のつながりを能動的に予測する姿勢へと、自分たちの感度をアップデートできます。

結論:これは、知的な好奇心を枯らさないための「自分への投資」である

安定した土台(インデックス)の上に、少しの不確実性(個別株)を取り入れる。このバランスこそが、理系夫婦らしい持続可能な資産運用の姿だと定義しました。

効率性だけを追い求めれば、個別株は「ノイズ」かもしれません。しかし、そのノイズの中にこそ、私たちの知性を刺激し、成長させてくれるヒントが隠されています。負けても知見という資産が残る範囲で、この「知的な実験」を継続していこうと思います。


思考の参照記事(Book

本記事で触れた「仕組み化」と「実装」の考え方については、以下の記事もベースにしています。

【Book #09】『未来を実装する』〜不確実な2030年へのロードマップを描く〜


免責事項 ※本記事は個人の意思決定プロセスを記録したものであり、特定の投資手法や銘柄を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。

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