感情を排除する、if-thenプランニング
投資における最大の難所は、いつ売るか(Exit)です。含み損が出れば「いつか戻る」と願いたくなり、含み益が出れば「もっと上がる」と欲が出ます。この「人間味あふれるエラー」を防ぐため、私たちは売却ルールをコードのように記述することにしました。
損切り条件:買値からマイナス15%に達した瞬間、理由を問わず機械的に売却。
利確条件:投資の前提となった「企業の成長ストーリー」が崩れた、あるいは目標価格に到達した場合に半分を売却。
夫: 「これで『どうしよう』と悩むコストをゼロにできる。判断をシステムに委ねることで、後悔という感情的なノイズを消去できるはずだ」
妻: 「売った後に株価が上がっても、それは『アルゴリズム通りに動いた結果』だから、私たちの負けではないのよね」
「損切り」という、素人投資家にとっての最難関コード
理論を記述するのは簡単ですが、それを「実行」するのは別問題です。 「マイナス15%で売る」と決めていても、いざその時が来ると、「明日にはリバウンドするかも」「今売ったら損失が確定してしまう」という強烈なバイアスが指を止めさせます。損切りは、素人投資家にとって最も難しく、かつ最も重要な「例外処理」なのです。
ルールを決めても、なかなか実行できない。それが人間という「仕様」でした。
完璧を求めず、弱い自分を「認める」ということ
以前の私たちなら、ルール通りに動けない自分を「意志が弱い」と責めていたかもしれません。しかし、最近はそんな自分を責めるのではなく、認めるようにしました。
夫: 「また損切りが一日遅れてしまった……。そんな時、以前なら自分を責めて落ち込んでいたけれど、今は『これも人間という個体の初期設定(デフォルト)なんだな』と、そんな自分も認めるようにしたんだ」
妻: 「そうね。最初から100%機械的に動けなくても、自分を責める必要はないと思えるようになったわ。むしろ『今はまだ、感情というノイズにCPUが占拠されている状態なんだな』と客観視すること。その弱さを受け入れること自体が、長期投資を続けるための大切なガバナンスなのよね」
100%の機械化:投資家としてのレベルアップ
もし、この損切りと利確を、一切の迷いなく機械的に実行できるようになったなら。それは投資家として「1レベルアップ」した証です。
感情に左右されず、淡々とアルゴリズムを回し続けること。 それは単なるテクニックではなく、自らの「弱さ」をシステムで補完し、それを受け入れられた瞬間に達成されるものです。私たちは、完璧な投資家を目指すのではなく、不完全な自分をシステムで支えながら、一段ずつ階段を登っていく過程そのものを楽しみたいと考えています。
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免責事項 ※本記事は個人の意思決定プロセスを記録したものであり、特定の投資手法や銘柄を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
